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2020年3月15日 (日)

疑似真空地帯

今は昔、20年くらい、いやもっと前か、単純作業に飽きたり、めんどくさい上司の相手に疲れた時、職場を抜け出して、決まって向かう場所があった。

運河に面した倉庫の外階段。最上階に上がる。今がちょうどよい季節で、晴れた日には遠く富士山を中央に、下手に空港、上手には立ち並ぶ町工場や倉庫が低く並ぶ下町大パノラマ(笑)。西にすこしだけ傾いた太陽とちょっとだけ冷たい風を感じながら、酸欠ぎみの頭でぼーっと眺めていた。

ときどき、おなじような症状(笑)の同僚が昇ってきたりして、サボってる手前、気まずい思いを一言二言で紛らわしながら、あっちは喫煙者、こっちは嫌煙家で、互いにパーソナルスペース保ちながら、お隣さん同士ってのも悪くなかった。

さらに昔、二十代の頃。そういえば女の子とデートしながらも、そんな「真空地帯」を無意識のうちに探しながら歩いていたかも。

若いふたり、門限や終電を気にしながら、灯の消えたショーウィンドウの陰やシャッターの閉まった商業施設のエントランスに隠れて、キスを貪った。酔っぱらいの冷やかしに意地になって無視してイチャついてたら、警備員にドヤしつけられたりして…思い出深い(笑)。

 

そう。昔は街にも、そんな真空地帯が存在して、そうしたエリアを選んでは徘徊していたようなもんだ。

いろんな引力から一時解放されて、かといって辛うじて地に足をつけたまま、重力だけを気にしていればいい時空間。息苦しくなると都合よく現れるエアポケット。宮台真司氏のいう「屋上」に近いかも。

まともに生きようとすればするほど、逃げられなくなる。だから一時的にも逃げ場が、日常生活におけるアジールが必要になる。一休さんなら「ひと休みひと休み」、双六なら「一回休み」だ。

いま、生産性だ効率化だと高飛車なことばに塗り潰されて、街からはそうした真空地帯は消滅した。街は死んでしまい、機械仕掛けの張りぼてだけが、几帳面に、わき目もふらず、ただ無意味に振動してるだけのよう。

この先人間は、そうした真空地帯なしに、生を営めるのだろうか。

 

   

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