仕事上のアイデア・ヒント

2013年11月16日 (土)

先代事業部長の呪縛

で、ですね。話横道にそれますが。

先代が口を酸っぱくしてた「名は体を表す」、みなさん、いまだ引きずられてらっしゃる訳で(笑)。先代事業部長の呪縛、根強いですね。わたし当初から引っかかっていて、ずっともやもやしてたんですよ。もう…いいでしょ引退されたいまとなっては(苦笑)。

この言い回し、もともとは物事の様態を表したもので「名前というものは、名づけられたそのものの形や様子を表しているものだなあ」くらいの意味であって、「須らく名は体を表すべし」というものではないんです。「そうすべきものだ」という表現ではありません。当然例外もあります。

「TDL」は東京にはありませんし、「お手洗い」は手を洗うんでなく用を足すところ、「台風」は英語のタイフーンをもじった造語…、むしろ例外のほうが多かったりして。

で、です。もうそろそろこの呪縛から解き放たれるべきではないか、と。「ことばは正しく使え」「正しい表現を心がけろ」等々お叱り受けて(真に受けて)みなさんお悩みでしたよね? 

「適切なことば使いを」と言われれば、そりゃ誰も反論できません。ただ、そればかりを求められたら息が詰まる。勢い、突っ込まれないような無難な言い回し、当たり障りのない表現になっちゃうんですよ、どうしても。それに慣れると、今度はなんとなく「かっこいい」「見栄えのする」方向に走ってしまい、「名は体を表」してはいるけど、中身は詳しくわからないことばが量産されます。そうなると、もう遣り取りがことば遊びになっちゃう。思い起こせば、空しい会話じゃありませんでした?

タイトルやラべリングについては「短いことばで」。そりゃおっしゃる通り。「箇条書きで簡潔に」そうせざるをえない。

しかしすべて「名は体を…」に拘っていたら、その内実が疎かになってしまう。先にあげた「確認」が実例です。

ですから、使い方を誤らないこと。特にマニュアルでの表記や一口標準の注意書き等は、より具体的で身体的なことばを多用すべきです。「誰かに/なにかを/まちがいなく/させる」為には、具体的な姿勢・動作、ハンドリング、その手順、…等々にまで踏み込んで、「誰もがわかる」ことばで表す、伝える、理解させることです。

そうして「わかる」ことばを探っていっても、どうしてもことばでは伝わらない、表現できないことが出てきちゃう。感覚的あるいは独特の勘どころ…、そういった部分こそ、ベテランに任せるしかない。OJTとは、そういうこと、なんです。教育・育成コストで欠かせないのは、実はその部分、「ことばで表現できない」「感覚的・職業的勘」の伝承なんです。

繰り返します。そろそろ「名は体を」のことば遊びから、実体を伴った確実な品質づくりにわれわれの意識をシフトしていきたい、そう考えます。

…と、だいぶ横道に逸れました、修正しましょう。

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2013年11月10日 (日)

アンケート結果から気づき

先日の(13下期/品質)勉強会、ご協力ありがとうございました(内容はお立会いいただいた通り)、さてアンケート結果ですが、集計内容は先ほどご報告した通り。で、これからはそこでの(アンケート結果)気づきについて、いくつかお話しします。

どんな勉強会を望みますか 事故防止の為に、あなたはどんなことを心がけていますか?」という自由記述の質問への回答で遣われた頻出単語、先ほどマトリックスでご紹介しましたが、その中で気になることばがあります。ひとつは「確認」。たとえばこんなふうに書いてあります。

曰はく「安全の確認」「ルールが守られているか確認」、なかには「確認に時間をかける」とか(笑)。どれも、ある文脈の中でならば頷ける記述なのでしょうが、ここに書かれた「確認」、具体的な内容がよくわからない。確かに「アンケートだから」「言うまでもないことだから」というエクスキューズはあるでしょう。ですが本当にそうか? 実は事件事故DBの再発防止策欄でも、よく見ることばなんですねこの「確認」。そこでも「確認」の意味、その中身がよくわからない。どういうことか。

実際の記述をいくつか紹介しましょう。

たとえば「出入り口の施錠確認」、うっかりミスによる機械警備発報の再発防止策のひとつとしてこう書かれています。また「梱包物の内容を確認する」、部品が入ったままの段ボールを破棄しそうになったヒヤリハットに対して。あるいは「標準が適正か確認する」、すごい記述(笑)ですが、新規の標準・ルール化の評価が必要な場合に適用、とあります。

この三つ、どれにも「確認」ということばが使われています。それぞれの工程・手順に即して考えると、とても「確認」一言で括れる、言い表せる内容ではないんです。

いや箇条書きする際のタイトルとしてであれば、まあ仕方ないですよね「○○の確認」とか、表現上・記述上やりようのないこともあるかもしれません、それはともかく。

お分かりですね、この「確認」ということば、時と場合に応じて、その中身を解きほぐして、現場(の誰でも)が理解できるように「翻訳」してあげる必要があります。

「施錠確認」は、たとえばこう言い換えはどうでしょう。「トビラのドアノブを2~3回廻してみて」とか「ガチャガチャと音がするかどうか」とか、それを「確かめろ」と。

「内容物の確認」だったら、たとえばこうです。「段ボールをひとつずつ開けて、箱の中を見なさい」「なにか入っていたら報告しなさい(あるいは「手を挙げて誰か呼びなさい」(笑))とか」「空の箱は後で畳んでまとめて捨てなさい」とか、「目で見て選り分けるんだよ」と。

「標準が適正か」…うーんこれむずかしい(笑)。「標準とした一連の作業内容・工程を実際に見る・担当者に聞き取りする・場合によってはやってみる」等してみて、「ほんとうにそのやり方がふさわしいか評価して、是非を判断する」…なんてどうでしょう。

まあ、こんなふうに(笑)、「確認」という、便利だけどあいまい・あやふやなことばを、言い換え/具体的な内容・動作・手順を伝える・理解させる必要があるということ。標準でしたら当然「5W1H」で表現する。

  →(「先代事業部長の」呪縛に続く)→戻る

たとえば事件事故が発生した、と。現場に是正措置を求めた場合、マネージャーの皆さんとしては(立場上)「何をすべきかわかってるよね?!」「このくらいわかるよね?!」との期待が先行して、上がってきた対策内容を「言わずもがな」で見過ごしてしまうことが多いようなんですよ。そこを踏ん張って(笑)、「この確認って、なにを意味する?」って問うてみていただきたいんです。案外、とんちんかんなこと答えが返ってきたりするんですよこれが(笑)。

「現場を信頼する」ことと「現場に期待する」ことは、おなじようでおなじではありません。「具体的には?!」と問うことは、仕事の質を向上させることではあっても、互いの信頼を損なうことにはなりません。そのことによってパフォーマンスが向上することが大事です。

繰り返します。今回のアンケート結果から、いくつかのことばの使い方に、どうもあやふやな表現がありそうだと気づきました。そのなかの「確認」という、便利だけど如何様にも解釈できることば。これを使う場合には注意が必要。現場で実際に「確認」を実施する場合は、5W1Hで作業内容・動作・手順を具体的に伝える・理解させる、そういう心構えがいるよ、と。

お分かりいただけたでしょうか。ほかにも気になることばはあるんですけどね(たとえば「徹底」とか)、それらについては次回以降ご紹介することにします。とりあえず以上です。

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